『動詞・原形』は、「時間の流れ」の”外”にあります。
何故なら、『動詞・原形』には、『現在形』も『過去形』も無いからです。
『現在形』、『過去形』があれば「時間の流れ」の”中”にあることになります。
「時間の流れ」の”中”にあれば、
同じく「時間の流れ」の”中”にいる(ある)『主語』にそのまま接続できます。
『動詞・原形』は、
『現在形』も『過去形』も持たず、したがって「時間の流れ」の”外”にある点で、
done・doing・to do と似ていますが、
『動詞・原形』do は、
『動詞』の根源的な存在なので、
「時間の流れ」を超越するような、自由な働き方をします。
(1)『動詞・原形』do は、
『現在形』do, does、『過去形』did に”変身”して、『主語』に接続します。
一方、
done・doing・to do は、
『助動詞』の『人称形』is, are, was, were / have, has, had によって、
「時間の流れ」の”中”と”外”を「橋渡し」されて、
『主語』に接続します。
〈2〉また、『動詞・原形』do は、
『助動詞』によって、
「時間の流れ」の”中”と”外”を「橋渡し」されることによっても、
『主語』に接続します。
can, could などでは、
否定は、 can not, could not で、
『一般動詞』は、do not, does not / did not で否定します。
(3)『動詞・原形』は、「時間の流れ」の外を浮遊する「自由浮遊動詞」でもあるので、
同じく「自由浮遊動詞」である done・doing・to do が、
『動詞・人称形』ではないので、
文をつくる4つの要素、
『動詞・人称形』、『名詞』、『形容詞』、『副詞』のうちの、
『動詞・人称形』以外の、
『名詞』、『形容詞』、『副詞』のように機能するのに似て、
『動詞・人称形』は、
『形容詞』に似た働きもします。
たとえば、
He saw an owl glide through the moonlit night sky. S V O C
「彼は、月の光で明るい夜空を、一羽のフクロウが(ずうっと)滑るように飛ぶのを見た」
において、
glide(自動詞・原形)は、
一般的な SVOC においては『形容詞』がよく使われる C を担当しています。
glide は『動詞・原形』なので、本質的に「動き」を表しますが、
an owl (O) に対して、「滑るように、ずうっと飛ぶ」という動きの要素を含む「様子」の説明をしています。
He saw an owl gliding through the moonlit night sky. S V O C
なら、gliding「(いま、もっか)滑るように飛んでいる(状態の)」は、
「動きの要素を持つ”状態”」として、より『形容詞』に近くなります。
(4)『動詞・原形』が、
そのままで(「時間の流れ」の中に入って『動詞・人称形』に”変身”せずに)
『主語』の V「うごき」を表す場合もあります。
映画の1シーンのようですが、アメリカの荒野の誰もいないところで、放置された自動車が一台だけあり、移動手段になりそうなのはこれしかない、という場合、
(a) どうにか走るかもしれない、と思える場合は、
If this car runs, we will get to the next town in three hours.
「この車が走れば、私たちは、三時間で、次の街に到着するだろう」
(b) 車の状態が悪くて、とても走りそうもない、と思える場合は、
If this car ran, we would get to the next town in three hours.
「この車が走ってくれれば、私たちは三時間で次の街に着くんだが」
のように、『現在』において、
(a) 「動きの実現可能性」がある場合は、『動詞・現在形』が、
(b) 「動きの実現可能性」が無い、あるいは弱い場合は、『動詞・過去形』が使われます。
つまり、『現在』において、
『動詞・現在形』は、V「うごき」が実現しそうなニュアンス、
『動詞・過去形』は、V「うごき」が実現しそうもないニュアンス、
を持ちます。
つまり、『現在』においては、動詞が『現在形』か『過去形』か、が、
その V「うごき」が、実現しそうなのか、実現しそうではないのか、というニュアンスを表します。
そこへいくと、
『動詞・原形』は、「時間の流れ」の”外”にあって、
現在、過去という時間の要素を持たないので、
V「うごき」の実現可能性の有無、というニュアンスが無く、
淡々と V「うごき」を表します。
He asked that the garden lights be turned off so he could watch the comet clerly in the night sky.
「彼は、夜空の彗星がはっきり見えるように、庭の灯りが消されるようにと、頼んだ」
では、
be turned off(句他動詞 turn off の「受け身の動詞」の『原形』)が、
『主語』the garden lights の V「うごき」になっています。
〈5〉『動詞・原形』が V「動き」を表す場合:『命令文』
『主語』が You であることが明白なので、You が省略される場合がほとんどですが、
You がある場合は、
You be careful of sudden changes in the weather in the mountains.
「山の天気の急な変化には気を付けてね」
のように、
「時間の流れ」の”外”の『動詞・原形』be が、
「時間の流れ」の”中”の『主語』Youと、
「表現者」の”力業”によって、
「時間の流れ」の"岸"を超えて、結びつけられています。
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