2016年4月13日水曜日

西欧中世のカオス的世界(5)

Life and Work in Medieval Europe  (p 4) より

 In four centuries Rome had succeeded in transforming the part of Europe which
lay beneath her law into a hive of productive activity.
 She had transformed even its outward aspect; forests had been cleared, marshes drained, the land cultivated.
 The plough and the spade triumphed over wild nature; cattle-breeding,
corn-growing, the cultivation of industrial plants, fruit-trees, vines, while the field
of Roman colonization grew even wider.
Industrial production outgrew all the results hitherto obtained, as well in the domains of minerals and metallurgy as in those of weaving, leather, earthenware,
and glass.


 四つの世紀の間に、ローマ帝国は、ヨーロッパのなかの、ローマの法の支配に服している地域を、生産活動が集積している場に変えることに成功していた。
 ローマ帝国は、その風景さえも変質させていた。森は伐り払われ、湿地は排水され、土地は耕されていた。
 鋤と鍬は、人の手の入っていなかった自然を征服した。牛を飼育し、穀物を育て、商品作物、果樹、葡萄を栽培したが、その間にも、ローマ帝国の植民地はいっそう広大になった。
 工業生産は、それまでに得られた成果を凌いだが、これは、織物、皮革、陶器、ガラスばかりでなく、鉱産物や冶金の分野においても、そうだった。


産業化された農業では、単一品種の、原料になるものばかりを作っていたりするので、近現代においても、事情を知らない外国の軍隊が進駐して食料を得ようとしても、ロープの材料のような食べられないものばかりで、当てが外れて困った、ということもあったようです。
日本におけるこのようなタイプの農業は、大都市の近くでの花の栽培とか、北海道での、その年の大きな需要が見込めそうな作物(たとえば、人参、ジャガイモなど)を大規模に作るとかのやりかたでしょうか。
ともかく、ここに描かれたローマ帝国の様子は、現代における高度成長期の社会に似ているようです。