2013年10月22日火曜日

西欧中世のカオス的世界(1)

"Life and Work in Medieval Europe"  P.Boissonnade 
古い本(1937)ですが、中世の深い森に分け入って行くような面白さがあるので、少しずつ紹介してみます。

(1) 
 With the fifth century there begins a long period of a thousand years known as the Middle Ages,
in the course of which were accomplished some of the great social and economic changes in the whole
history of labor.
(2) 
 It begins with a catastrophe:the collapse of the Roman Empire as a result of the invasion and settlement of barbarian peoples.
(3)
  No one could have foreseen this disaster,which was of capital importance in history,because it very nearly brought about the complete destruction of civilization.
(4)
  Happily for the new world which was to spring from the ruins of the old,the good order established by 
 Rome never entirely died out,and it was upon the solid foundation of what remained that the new states 
of the early Middle Ages were destined to rear themselves.

(1)5世紀に、中世と呼ばれる、千年にも及ぶ時代が始まって、そこで仕事の歴史における、社会的にも経済的にも大きな変化があった。
(2)中世は大混乱ーー蛮族の侵入と定住から起こった、ローマ帝国の崩壊ーーから始まった。
(3)このメチャクチャ状態が歴史上きわめて重要なのは、これが文明を完全に破壊してしまいかねなかったからだが、誰もこれを事前に予測できなかった。
(4)旧時代の廃墟から生まれる新しい世界にとって幸いなことに、ローマによって確立された秩序は全面的に壊滅したわけではなく、中世初期の新しい諸国家が発展していくことになったのは、残ったものからなるしっかりした土台の上だった。

蛮族の侵入と定住によって、広大な領域の秩序を維持してきた力が消滅し、カオス状態が生まれた、という状況は、中国大陸でもたびたび発生しましたが、中国大陸ではそのたびに次の王朝が表れて統一を回復する、ということが繰り返され、結果的に現代まで、古代帝国の領域をほぼ維持しており、一方、西欧は細分化され、今ようやく一体化を試行錯誤している段階にある、と言えると思いますが、
だから中国は素晴らしい、と言えるかというと、
ローマ帝国の直系の子孫であるイタリアは、その後ルネサンスの中心地になり、現代でも独創性に溢れたスーパーカーが作られているのに対して、中国ではロールスロイスのフルコピー車をあくまで自分のデザインだと言い張って、創造への意欲が感じられないのを見ると、
巨大な古代帝国が分裂するのは良いことなのだ、と思えてきます。
昔の中国人はこんなじゃなかった。
始皇帝が統一する前の中国は、幾つにも分かれ、互いに戦争もしていましたが、生き残るために必死で頭を絞り、今に残る様々なアイデアを生み出しました。
ヨーロッパ大陸と中国大陸で、なにか風土的な違いのようなものがあるのでしょうか。


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