CHAPTER (2)
The bewitched bathing-house (6)
魔法をかけられている着替え小屋
Moomintroll hadn't come very far south when darkness was already creeping under the trees.
ムーミントロールは、夕闇がすでに樹々の下に忍び寄って来ていたとき、それほど南へ来てはいませんでした。
At every step his paw sank deep in the snow, and the snow was not in the least as exciting as it had been.
一歩ごとに、彼の足裏は雪に深く沈み込みましたが、雪は、それまでのようには、全然、わくわくさせられるものではありませんでした。
The silence and the stillness of the wood were complete.
森は、まったく物音も無く、どこまでもしんとしていました。
Only now and then a large sheaf of snow came thumping down from a tree.
ただときどき、雪の大きなかたまりが、木からバサッと落ちてきました。
The branch from which it had fallen rocked a while, and then all was lifeless again.
雪が落ちて来た枝は、しばらく揺れていましたが、その後は、再び、全てのものが動きを止めました。
'The world's asleep,' Moomintroll thought.
「この世界は眠っている」と、ムーミントロールは思いました。
'It's only I who am awake and sleepless.
* It [ who am awake and sleepless ] is only I.
「起きて眠っていないのは、ぼくだけなんだ」
It's only I who have to wander and wander, day after day and week upon week, until I too become a snowdrift that no one will even know about.'
「一日また一日、一週間また一週間、ひたすらさまようしかなくて、ついには一つの雪だまりいなるのは、ぼくだけなんだ。誰もそれがどういうものなのかさえわからないだろうけど」
Just then the wood opened out, and before him stretched another valley.
ちょうどそのとき、森が無くなって、彼の前には別の谷間が広がっていました。
On the other side of it he saw the Lonely Mountains.
その谷間の向こう側には、ロンリー・マウンテンの山々が見えました。
They rolled away southwards in wave upon wave, and never had they looked more lonely.
山々は、波が続いているように、遠く南へうねっていて、これまでになかったほど寂しく見えました。
0 件のコメント:
コメントを投稿