2017年7月7日金曜日

西欧中世のカオス的世界(11)

イタリア半島のローマ帝国、遥か東方の漢と隋唐のあいだの分裂期、と見て来ましたが、イタリア半島と東方世界の中間の(と言っても、ユーラシア世界においては、地理的にかなり西寄りですが)ビザンチン世界を訪れてみます。

"History of the Byzantine State"     George Ostrogorsky   (p 28)

(1)  Byzantine history is indeed only a new phase of Roman history, just as the Byzantine state is only a continuation of the old "imperium romanum".  

ビザンティン国家が元々の『ローマ帝国』の延長であるように、ビアンティンの歴史は、まさにローマ帝国の歴史の新たな一局面であるに過ぎない。

(2)  The word "Byzantine" is of course the expression of a later generation and was not used by the so called "Byzantines".

『ビザンティン』という語は、もちろん後の世代の表現で、いわゆる『ビザンティンの人々』によっては用いられなかった。

(3)  They always called themselves Romans and their emperor considered himself as a Roman ruler, the successor and heir of the old Roman Caesars.

ビザンティン帝国の人々は、自分たちをローマ人と呼んでいたし、皇帝は自分を、ローマの歴代皇帝の後継者かつ相続人である、ローマ帝国の支配者と考えていた。

(4)  They remained under the spell of the name  of Rome as long as the empire lasted and to the end the traditions of Roman government dominated their political thought and purpose.

彼らは、帝国が存続するあいだはローマという名前に呪縛されていたし、最後まで、ローマ政府の伝統は、政治上の考え方と目的を支配した。

(5)  The Empire contained many different races< all bound together by means of the roman idea of the state>, and the relation of the Empire to the outside world was determined by the Roman concept of universality.

帝国は、ローマ流の国家の理念というものによって一つにされた多くの異なった民族を含んでおり、帝国と外部の世界との関係は、ローマ流の普遍性の概念によって判断された。
 

イタリア半島とバルカン半島とアナトリア半島が、交通に時間のかかった古代でも、一つの世界として意識されていたようで、まさに地中海は巨大な湖というかんじです。


** 『英語はこうできている』というメルマガを発行しています。

題名のとおり、通常の文法の説明というよりも、

文法の事項の背景にある『発想』を考えてみるという方針で探求しています。

たとえば、仮定法(過去、過去完了)は、

 『過去にさかのぼって、新たな動きを実現させることはできない』ことから、
動詞、助動詞の『過去形』のカタチを借りて、『実現する可能性が無い、あるいは低い』
 動きを表すものであり、

『仮定の世界』においては、動詞、助動詞は、『現在形』も『過去形』も、カタチのうえ
では『過去形』であり、したがって、

一般には、
『仮定法』の文を、『直接話法』から『間接話法』に変えても、『時制の一致』は発生しない、
と言われますが、そうではなくて、

『仮定の世界』においては、『現在形』が『過去形』に変っても、もともとカタチが同じ(『過去形』)なので、『時制の一致』が起きていないように見える(聞こえる)のです


いま扱っている内容は、
 
(A)  Under a Crimson Sun           David S. Stevenson     

    赤色矮星の特質と、そこにおける生命発生の可能性など

  * 本書を扱っている最中に、偶然、水瓶座(Aquarius)の方向、39光年彼方の赤色矮星 TRPPIST-1(トラピスト-1)に、7つの地球型惑星(岩石惑星)が確認され、そのうちの3つには、液体の水が存在する可能性がある、つまり生命が発生、進化する可能性がある、と判断されるという、興味深い発表がありました。

赤色矮星は、寿命が数兆年(!!)と長いので、発生した生命が知的に高度なレベルに達する時間的な余裕もじゅうぶんであり、かつ、赤色矮星は、宇宙においてもっとも数多いタイプの星なので、太陽系のある銀座系宇宙に限っても、知的生命体が存在する惑星は、それこそ天文学的な数に上ると思われます。


(B)  Breaking the Limit :     Karen Larsen
          One Woman's Motorcycle Journey through North America

   一人の女性が北米大陸をオートバイ(Harley-Davidson Sportster 1200)で駆け抜けた記録で、道の旅と心の旅が重なっています


(C) Justice                  Michael J. Sandel (Harvard Univ.  教授)

   社会に発生する様々な問題を、異なる視点から検証し、対立する見解のぶつかり合いのなかから、問題の本質を浮かび上がらせます


* 『まぐまぐ!』  http://www.mag2.com/  『英語はこうできている』
 
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