2025年6月26日木曜日

『”時・条件の副詞節”では、「未来の動詞(will do)」 を 「現在の動詞(動詞・現在形)」で代用する』は、「錯覚」では? (1)

 If it rains tomorrow,  we will cancel the picnic.

「明日、雨が降るなら、ピクニックはやめにします」

では、


 "tomorrow"と、「明日」の事態を述べているので、明らかに「未来」のことを扱っています。

それなのに、"rains"という、『動詞・現在形』が使われているので、どうしても、

「未来の動詞」 ”will rain” が、『動詞・現在形』"rains"で「代用」されている、

ように見えます。


 しかし、"tomorrow" が表す「未来」は、

カレンダーや時計のような「時間のモノサシ」で捉えられる、「先の時間域」としての「未来」です。


 そして、「時間のモノサシ」で捉えられる「未来」と、

「未来の動詞」"will rain" で扱われる「未来」とは、

まったく別のものです。

ここに、『時・条件の副詞節では、「未来の動詞」が「現在の動詞」によって代用される』という、不思議な文法規則が発生した原因があるようです。


 未来の”うごき”を表すためには『助動詞』"will" が用いられ、

"will do" となりますが、 

"will" のはたらきは、もともとは「推測」です。

つまり、はっきりとはわからない、自信を持ってこうだと判断できない事態を、「 ~だろう」と一応言っておくのが、will のはたらきです。


 たとえば、空間でも水中でも、近くにあるものは、はっきり見えるので、「あれは、~だ」と断定できます。

したがって、 それほど遠くない海面上に黒いものがあって、形からクジラだと、自信をもって判断できるなら、

"That black thing over there is a whale."    

と言えます。


 ところが、もっと遠い、水平線の上に見える黒い点となると、自信を持って判断できないので、

"That black speck on the horizon will be a whale."

のように、

「あの、水平線の上の黒い点は、クジラだろう」と、

「推測」することになります。


( ただ、will が使われるのは、かなりの自信を感じている場合で、自信があまり無い場合は、

さらに「実現可能性」の弱い 

 might、could

 [ 弱い実現可能性を表す助動詞・(過去形のカタチであっても、この例文では)現在形 ] 

が使われます) 


 つまり、空間における「距離」と「自信の程度」の間には、ある程度の相関関係があって、

距離が近くて、自信を持って「あれは、~だ」と言える範囲と、

 その向こうの、自信を持てずに「あれは、~だろう」と推測する範囲に分かれます。


 「時空」という概念があるように、「空間」と「時間」は、奥行きがあるという点で、似ています。

「空間」を「時間」に置き換えると、

「空間」の場合と同じように、

「時間」は、

「それは A だ、と自信を持って判断できる時間の範囲」と、

「自信を持って判断できず、あれは A だろう、と推測するしかない時間の範囲」

とに分かれます。


 かなりの時間を隔てているために、「先の時間域」において、ある事態が発生することを断言できず、「推測」するしかない場合は、

"will do" が用いられ、


 「先の時間域」における事態であっても、そこでの「うごき」の実現を見込める場合は、

「推測の」の要素が無いので、

"do(動詞・現在形)" が用いられます。 


 つまり、「時間のモノサシ」のうえでは「先の時間域」(つまり未来)の事態であっても、

その事情とはまったく無関係に、

そこでの「実現の見込みがある”うごき”」は、

『動詞・現在形』do で表されます。



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